短編小説・「明日へ続く道」 6

「え?あ、でも、父さんが一緒だし・・・」
健太は戸惑いながら小声で答えた。
「なに、健太の父さんって、何回も来てんのか?」
礼司は聞いた。
「いや。ここは初めてだけど・・・それにどこに座るか
わかんないし。」
と健太と礼司が話をしていると、話を終えた健太の父が
やってきた。
「おい、健太。ここにいたか。ん?友達か?」
すると礼司が
「おはようございます。健太君と同じクラスの礼司です。
健太君に、一緒に応援しようって言ったんですけど・・・」

すると、健太の父は
「礼司君はどこに座るん?」
と礼司に聞いた。
「M席です。来年はBがいいかなぁと思っているんですけど・・・」
とちょっと笑いながら答えた。
「同じM席だねぇ。よし、いいんじゃねぇか。なぁ健太。二人で
見るんもなんだし。人数が多い方がいいだんべ。」
「え?さっきのおじさんは?」
「あ~さっきのおじさんは、見る場所が違うんだ。バックスタンド
の方だと。」
・・・あ、そうなんだ。
と心の中で健太はつぶやいた。

「じゃあ、まってるかんな」
と言うと、礼司は入場口のほうへ走っていった。

そんな事いわれても・・・

健太は困惑した。

「んじゃ、俺らも行くべぇか。」
「うん。」
健太と父はM・S席の入り口へ向かった。

「父さん。なんか列が二つあるけどどっちに並ぶの?」
「ん~と、こっちは『シーズンチケット』って書いてあんな。
貰ったんは一般のほうだから・・・こっちだ。」
スタンドの入り口から少し離れた所が先頭の列に並んだ。
「なっから並んでんなぁ。3,40人位か?」
先頭から後ろの方へ歩いていった。
列は、公園内の通路に出て、そこから右に曲がっていった。
「ここが一番最後みてぇだな。」
「入り口が見えないね。」
「まぁ、この位置じゃ、席がなくなることはねえべ。
開場までもうちっと時間があっから、座ってんべぇ。」
二人は周りの人達と一緒に座り込んだ。

そして、開場。
まず、シーズンチケットとハーフシーズンチケットの人たちの
優先入場が始まった。
入り口近くに並んでいた礼司が、入り口をくぐってすぐ
スロープを小走りで駆け上がっていった。

礼司は、誰よりも早くスタンドに行き、いつも座っている席に
着き父親が来るのを待った。
礼司は父に
「友達が来るから、呼んで来るね。」
と言って、スロープ上がった所に向かった。

シーズンとハーフシーズンチケットの優先入場が始まってから
15分後、一般チケットの入場が始まった。
「お、入場が始まったみてぇだな。行くべぇ。」
「うん。」
人々の列がゆっくりと進んでいった。

入場開始から5分くらい経って、健太と父は、入り口に着いた。
入り口ででチケットをスタッフに渡し、半券を受け取り、マッチデー
プログラムを受け取った。
「健太、こっちだ。」
と、父は健太を呼んで、健太の背中に手を当てながらスロープを
上がって行き、スタンドへ向かった。

「おーい、健太ぁー。」
マッチデープログラムを見ながら歩いていた、健太は
大きな声で呼ぶ声に気づき、上のほうを見た。
礼司が、手を振りながら大声で呼んでいた。

-そんな大きな声で呼ばなくても。
健太はうつむいた。

スタンドの2階に着くと、礼司は
「俺がいつも座って応援している所が一番いいから。
こっち、こっち。」
と言って、健太の手を引いた。

続く・・・

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    Excerpt: 私が、初めて書いた小説。 Weblog: Dreamers Fields ~夢見の部屋~ racked: 2009-01-29 23:41